コントラクトコントリビューター
インナーソースにコントリビュートしたい社員がいますが、彼らの直属の上司はその活動に抵抗を示しています。正式な契約と合意をすることによって救済することができるかもしれません。
中間管理職によるサポートがなければ、コントリビューターの総数や、インナーソースイニシアチブによって生み出されたコントリビューションの量と価値は、トップレベルの経営陣の期待を下回る可能性が高いでしょう。これは、正式なコミュニティリーダー - Dedicated Community Leaderへの十分な資金提供や権限付与がない場合、さらに増幅される可能性が高くなります。 これでは、トップレベルの経営陣がインナーソースの活動やアイデアを放棄してしまう危険性があります。
ある大企業が、インナーソースイニシアチブを開始しました。このイニシアチブの主な目標は、分散ソフトウェア開発の効率を高め、トピックやビジネスユニットに関係なく、すべての社員がインナーソースプロジェクトに自発的にコントリビュートできるようにすることで、イノベーションを促進することです。
トップレベルの経営陣は、インナーソースイニシアティブを支持し、ボード上にあります。彼らにとって、インナーソースイニシアチブは、イノベーションと効率性を促進するための多くのイニシアチブの1つに過ぎませんが。彼らは、インナーソースに資金とエリアリーダーに対するキャパシティを提供し、予算がどのように使用されるかについて主に自治を与えています。また、取り組みの幅と期間を限定し、期待通りの成果が得られることが証明されるまで、定期的な見直しも行っています (レビュー委員会を参照)。 経営トップ層は、様々な社内会議でインナーソースを支持することを表明しています。
しかし経営トップは、中間管理職に対して、従業員が部門横断的なインナーソースの活動に参加することを許可したり、動機付けるような権限を与えたり、インセンティブを与えるまでには至っていません。さらに、すべてのアソシエイトのキャパシティは、通常、勤務時間の100%をインナーソース以外のプロジェクトに割り当てられています。組織横断的なコラボレーションはまだ一般的ではなく、直属マネージャーは通常、自分の組織外に目標を持っていません。 一方で、インナーソースのプロジェクトに貢献するのは、自由時間ではなく、勤務時間内に行われることが期待されています。
- マネージャーは、ビジネスユニットの結果に対して責任を負います。 スタッフをインナーソースアクティビティに参加させると、ビジネスユニットの外部でコントリビューションすることに時間を費やす可能性があり、ユニットのキャパシティが効果的に減少します。 これにより、マネージャーが目標を達成または超えることが難しくなる可能性があります。
- 直属のマネージャーと人事は、一般的に部下のパフォーマンスをビジネスユニットの目標に対して判断します。これは、インナーソースコミュニティの目標と一致していない可能性があります。
- 直属のマネージャーがトップ層の後方支援を受けていると思っていない場合、他のビジネスユニットに貢献するインナーソースアクティビティにスタッフを参加させる可能性は低くなります。
- 直属のマネージャーがコントロールしにくく、さらに作業の透明性が低い場合、彼ら・彼女らの部下がインナーソースのプロジェクトにコントリビュートできる可能性は低くなります。
- インナーソースでの正式な作業が管理および整理されていないほど、正式なプロセスに慣れている直属のマネージャーが、従業員のインナーソースの活動へのコントリビューションを承認する可能性は低くなります。
- 社員はインナーソースプロジェクトへのコントリビューションに多くの時間を費やしますが、それらの活動は彼・彼女の日常業務に利益をもたらすことはありません。そのため、彼のビジネスユニットのチームメイトの作業負荷が増加してしまいます。
- 個々のコントリビューターは、おそらく社内の専門的なネットワークを強化し、彼ら・彼女らのコントリビューションの技術分野における知識と経験を得るための機会としてインナーソースに参加することを検討しています。
コントリビューター、その直属のマネージャー、および中央で資金提供され運営されているインナーソースガバナンスオフィス(ISGO) の間で正式な契約を締結します。 ISGO に、契約期間内にコントリビューターと契約したビジネスユニットに払い戻しを依頼します。
- 契約では、インナーソースで社員の作業時間の最大割合を指定します。
- 契約では、コントリビューターのビジネスユニットでの作業がインナーソースでの作業よりも優先されることを明確に述べています。
- 契約では、契約で指定された最大割合の作業量をインナーソースプロジェクトでで必要はないことを述べています。
- 契約では、コントリビューター、コントリビューターの直属の上司、ガバナンスオフィス、コントリビューターがコントリビュートするコミュニティの正式なコミュニティリーダーによって署名されています。
- ガバナンスオフィスは、コントリビューターと直属のマネジャーの間で時間に関するコンフリクトが生じた場合、その仲介を行うことを提案します。
- 正式なコミュニティリーダーは、20%以上の活動をインナーソースに充てている契約コントリビューターのパフォーマンスレビューに参加するか、意見を提供します。
正式な契約と中央資金による払い戻しは、インナーソースイニシアチブのための組織のサポートを説得力を持って伝えることになり、またそれに署名するために中間管理職の権限を与えることになります。
- 開発キャパシティを払い戻すための企業資金のビジネスユニットへの割り当ては、インナーソースが組織によって価値があると見なすことになります。また、エグゼクティブの後方支援があり、彼らもそれをサポートすることが期待されていることを直属のマネージャーにに伝えることにもなります。
- 正式な契約は、インナーソースで仕事が専門的に管理されていることを意味し、信頼につながります。
- 正式な契約により、透明性が向上し、社員のビジネスユニットおよびインナーソースプロジェクトで利用可能なキャパシティの概要がわかりやすくなるため、「過剰なリソースの提供/計画キャパシティ」に関するリスクが軽減されます。
正式な契約は、コントリビューターやコミュニティにとっても有益です。
- 安定したコントリビューターのグループがあれば、そのうちの何人かが最終的にトラステッドコミッター のロールに到達する可能性が高くなります。
- 正式な契約は、インナーソースの活動への参加に関連するコンフリクトを解決するための基礎を提供します。(注: 調停は、対応する文化を持つ一部の企業のみに成功する可能性が高いことにご注意ください)
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- 2016-10-25 - first review
- 2017-05-09 - rework
- 2017-09-08 - second review, final rework and merged
- 2021-02-27 - fixing issues with display of the pattern in the book
- 2022-06-06 - 翻訳 Yuki Hattori
- 2023-06-18 - 最終更新